ゴルフ徒然
ゴルフ狂の詩
先生

合格に縁のない子供 ケース5 弁当屋を支える子供たち 小話57

合格の試練

毎日塾に通うと必然的に
夕食は殆ど塾で取ることに。

合格をするために仕方がない。

さらに、夏期講習になると昼食も塾で。

毎日のことなので用意する方は大変だ。

自分一人の食事を考えるのでも大変なのに、
子供の人数分の弁当となると気が遠くなる。

母親には頭が下がる。

しかし、共働きになると弁当を用意することは難しい。

そうなると用意できたとしても冷凍食品のオンパレード。
それも無理なら弁当屋のお世話に。

大体の塾には数社の弁当屋が入り込んでいる。

お願いすると塾まで届けてくれる。
とても便利である。

かわいい不合格者

弁当博士

こんな状況の中、
面白い子供が登場する。

夏期講習になると弁当博士が出現する。
様々な弁当屋のメニューを全て記憶。
内容から料金まで。

ほとんどのメニューを食べ尽くし
博士のお勧めもある。

授業中に今日は何を食べようかと
話を振ると予算を聞いてくる。
予算を伝えると、
いくつかの弁当を勧めてくる。
「お前はお弁当屋の回し者か」

その日はその弁当が飛ぶように売れていく。
博士はこの様子にご満悦。

弁当の名前になっている
難しい漢字はスラスラ読めるのに、
簡単な小学生の漢字は覚えられない。

弁当代とお釣りの計算は早いが
計算問題はボロボロ。

前人未到の唐揚げくん

夏期講習で毎日同じものを頼む子供が。

注文を受けに来たおじさんがその子の顔を見ると
何も言ってなくても

「唐揚げ弁当ね」

と注文を受け付ける。

PASMOもSuicaもびっくり。
顔パスである。

この唐揚げくん、
何日連続で何日食したかをノートに記録。
毎日、楽しそうにそのノートを見ている。

不思議なもので真似をする同志が出現。
堅い絆で結ばれていく。
唐揚げ同盟。
男の友情である。

ところが肝心な勉強同盟は結成されない。

毎日の宿題は消化不良。
唐揚げ同盟の加盟者がほとんど消化不良。

授業中はうつらうつら。
勉強に身が入らない。
集中力が続かない。

唐揚げで培った継続力はいずこへ?

栄養不足

危険な脂質

栄養のアンバランスが成績に直結する。

ビタミン、脂質のアンバンスは特に怖い。

お弁当に使われる食材には脂質が多い。
オメガ6系の油が大量に使用される。
悪玉コレステロールの元になる。

勉強には魚由来の油を摂取することが望ましいのだが。

ただでさえ運動不足になっている塾通い。
さらに悪い油の大量摂取で体に異変が。

弁当時には目を輝かせている子供が、
授業になると死んだような目に。

机に突っ伏して、
意識は朦朧としている。
ただ、座っているだけ。

自在に思考ができずに、
イライラしている者もいる。

脳内では明らかに異変が起こっている。

中年であれば血管に異常が出て、
確実に入院ものである。

ビタミンの不足

緑黄色野菜の不足も深刻。
ビタミンの不足に繋がり
体の不調の原因に。

慢性的に腹痛や頭痛を訴えるようになる。
経験のないアレルギーを発症する子供もいる。

業者の弁当に入っている野菜はせいぜいキャベツの千切り。
色のついている野菜が入っていることは稀である。
保存に耐えられない。

給食であれば栄養士が考えた献立なので、
毎日口にしても安心である。

ところが、夏期講習になれば昼も夜も
子供に献立を任せることになる。

栄養を考える子供はまずいない。

好きなものが優先される。
緑黄色野菜とは無縁になる。
炭水化物と悪い油物のセットになる。

大人の無関心

成績には敏感だが、
子供の栄養に関心を払わない。

一番大切なところが抜け落ちる。

塾のスタッフもたくさんの子供を
預かっているので、
目が行き届かない。

成績や宿題については声かけをするが
食事には無関心である。

夏期講習が終わる頃には
弁当屋組と手作り組では
成績の差が明らかに。
健康の差も明らかに。

秋以降の追い込みの時期にさらに差がついてしまう。

気づかないところで合格は決まる。

いつの間にか
合格に縁のない子供の出来上がりである。