ゴルフ徒然
ゴルフ狂の詩
先生

合格に縁のない子供 ケース9 ごみハウスの住人 小話61

ゴミハウス

部屋の様子

テレビの特集に度々登場するごみハウス。
足の踏み場もないくらいにゴミが散らかり、
床の高さが数センチ嵩上げされている。
天井が低くなっている。
まあ、電球の取り替えには便利だが。

目立つのがカップラーメンの食べかす。
確実に主食はラーメン。
割り箸がセットで
床のあちらこちらに放置されている。

おそらく汁も捨てないでそのまま放置したのか、
カップにはつゆの跡が色濃く残っている。

ペットボトルも数百本、散乱している。

一瞬、懐かしいなと思わせるラベルのボトルも。
まるでペットボトル博物館。
はて、何年前のボトルの柄か
思い出せないほどの骨董品も。

番組の後半ではお決まりの清掃作業。

清掃業者が防塵マスクをつけて
黙々と作業をこなしていく。

途中には大量のゴキブリや名も知れぬ虫がウヨウヨ。

匂いもキツいようで、
撮影クルーが気分を悪くして
外でダウンしている。

こんな悪臭の中でよく平然と暮らしていたなー。
と感心してしまう。

待ってましたビフォーアフター

清掃が終了すると、ビフォーアフター。

♪「なんてことでしょう」

というアナウンスが聞こえてきそうな
部屋の変わりぶり。
ここが一番の見どころ。

食事時間をずらして、
気分が悪いのを我慢して
見てきた甲斐があるというもの。

番組の最後に住人のコメント。

仮名 井上

「どこかで躓いた」
「会社勤めでストレスが溜まり、道を外したのだと思う」
おいおい、他人事かと
突っ込みたくなるような冷静なコメント。

仮名 井上
顔にはモザイクが入っている。

全国の井上さん、
きっと怒っているよ。
こんなやつに勝手に自分の苗字を使うな!

塾にもいるぞ、井上

ミニ井上

授業の15分前には教室に入るようにしている。

数人の生徒が教室にいて、
小テストに向けて
勉強をしている者や
友達と学校の出来事について
談笑している者もいる。

教室はきれいに掃き清められていて、
実に気持ちいい。
清浄な空気が流れている。

授業の開始の直前には
ほとんどの生徒が集まり、
静かに授業を待っている。

チャイムが鳴り、始業の挨拶を済ます。
今日の日付とテーマを黒板に書いていると、
ミニ井上が登場。

悪行不埒

遅刻をしているのに
何食わぬ顔で入室。

遅刻の非礼を詫びる気配もない。

リュックをだらしなく片腕に提げて
両手には途中で貰った
ティッシュ、チラシを握りしめている。

両手が塞がっているので、
他の生徒のカバンに躓いて
通路で派手に転ぶ。

吉本新喜劇も真っ青なコケっぷり。

カバンの持ち主と罵り合い、
ようやく自分の席に。

カバンから取り出すテキストは
変色して怪しい香りを発している。

隣の女の子が鼻をつまんで
ミニ井上を睨んでいる。

そんな様子を気にもせず
四次元カバンから次々に
テキストと教科書が。

算数、理科、社会、図工・・・・・・
図工!
なんで塾のカバンに図工が。

呆れて声をかける気も失せてくる。

カバンの中身を全て通路にぶちまけ
しゃがみ込んで必要なものを
物色している。

数分経って、お目当ての品が無いことに気づき、
手を挙げている。

「国語だけありません」
「おめでとう御座います」
と返事。
教室では拍手喝采。

笑顔でみんなの注目を浴びている。
彼の晴れ舞台である。

真面目な生徒に申し訳ないので
舞台に一人、放置。

休憩中でも

休憩になり生徒が慌ただしく食事の準備に取り掛かる。
短い休憩時間に夕食を
掻き込まなければならない。

時計と睨めっこしながら
腹の虫を抑えにかかる。

その中、ミニ井上は1人カバンの中をごそごそ。
弁当の準備をしているのかと思いきや、
財布を取り出して小銭の勘定。
ジュースを買う準備をしている。

その小銭の数が合わないのか1人で悩んでいる。
そして小銭が盗まれたと大騒ぎ。

いくらだと聞いてみると30円。

もうバカらしくて話を聞いてられない。
小銭問答を続けているうちに
休憩の時間は刻々と消えていく。

ほとんどの子供たちが食べ終えているのに
ミニ井上、まだごそごそしている。

そのうち弁当を食べずに
休憩時間は終了。

授業が始まると
隣の席の女の子の足元まで
ミニ井上の荷物が散乱している。

隣の女の子が迷惑そうに
荷物を片付けてくれと頼んでいるにもかかわらず
耳には届かない。

ひたすらまだ小銭を数えている。

彼の椅子の周りには私物が山のように積まれて
足の踏み場がない。

後の空いてる席にも荷物を置き
余っている空間は
彼の荷物に全て占領されてしまう。

ゴミシート完成

彼の周りはゴミハウス、
いやゴミシートと化していく。

なるほど、あのようにしてゴミハウスになるのかと
周囲の女の子がやたらと納得している。

どうしてあそこまで散らかすのか不思議だったようだ。

ミニ井上に感謝の言葉。

受験の結果は聞くまでもないだろうが、
当然第一志望校から第四志望校まで全滅。

本人が受験を拒んだ学校にだけ合格。
本人がゴミ中学と言って拒んだ中学。

たくさんの合格を勝ち取って
合格証書で散らかして欲しかったけど。

彼の周りにはやはりゴミしか集まらないようだ。

誰かー
仮名 井上さんのところに来た
親切な業者をミニ井上にもよこしてください・・・・・・