ゴルフ徒然
ゴルフ狂の詩
ライター

出世、諦めました 小話4

クラス替え

今日は風が強く雨も降っているうっとうしい天気です。

月が変わるタイミングでクラス替えが行われます。来月からのクラスを告知する封筒がそれぞれの子供達に手渡されます。

受け取る時の生徒の表情はさまざまで、にこにこしながら受け取る子供もいれば、顔を曇らせて震えながら受け取る子供もいます。大半の生徒は現状のクラスで学習していくことになるのですが、今回は一人の女子生徒が下のクラスに降格になります。封筒は家で開けるようにと厳命されているので結果は家でしかわかりません。開けた時のことを思うと胸が痛みます。

もう、平社員でいいです

一年を通してこういったクラス替えが何度か行われるのですが、大半の子供はクラスの変更がありません。懸命に努力している生徒もいるのですが不思議とそのクラスで落ち着いてしまいます。サボって怠惰に過ごしていても降格されることなく残っている生徒もいます。

これって怖いことだと思うんですね。というのも一年という長い期間に成長する瞬間が多々あるわけです。成長しているという充実感は人格形成の栄養になります。ところがクラス替えの度に同じクラスを宣告されると成長が実感できません。

自分のアイデンティティを知らない間に塾に刷り込まれることになります。自分のレベルってこのぐらいなんだと思い込みます。現状維持バイアスというものが働いて常に同じ位置に自分を縛り付けていきます。こうなってしまうと現状を打破して上のステージに進むのに恐ろしいエネルギーが必要になります。

え、出世、したくなかったの?

たまにクラスが上がって喜んでいるのかと思いきや暗い顔をして浮かない表情の子供を見ます。事情を聞いてみると前のクラスの方が心地よかったと打ち明けてくれます。しばらくすると自ら進んでそのクラスに戻ってしまう。

成人でも自分の平均年収が友達の平均年収に近づいてしまうというデータがあります。どれだけ高い年収を得ていても、付き合う友達の影響で数年も経つと同じような年収に収まってしまうそうです。怖いことです。環境は計り知れない影響力を持っています。現状に甘んじてしまうといざ高い目標を掲げた時、実現させるにはかなりの痛みが伴うことになります。

心地の良いクラスに戻っていった子供はその後は見事にそのクラスの平均値に落ち着いて行きました。当然第一志望校には遥かに及ばないで滑り止めの学校に進学することになりました。かなりの潜在能力を持っていたにも関わらず残念な結果になりました。

電車もいいけど、バイクで行く手もあるよ

これから入塾を考えている場合。入塾テストで最下位のクラスにしか合格出来ないのであれば一旦は入塾を見送り、個別指導や家庭教師などで入塾テスト対策をしてもらうのが得策です。そして最低でも中位帯のクラスで入塾するようにしたいところです。

現在、最下位クラスに在籍しているのであれば一旦休塾をし、同じように個別指導や家庭教師に切り替えて、クラスアップを目指したいところです。

合格へのルートは無数に存在します。子供の長所を活かしたルートの可能性を探ることが重要です。一つの方法だけが正しいと考えるのは非常に危険です。柔軟に対処していきたいですね。