鎖に繋がれた人たち
常識とは怖いものです。受験生は勉強をしなければならない。宿題をするのも当たり前。そんな常識に縛られながら辛いこと続けていく。かなりのプレッシャーに違いないのです。少しでも勉強の進捗が思わしくないと、自分を責める。自責の念に苦しむことになる。
教える側も常識に縛られて受験生を指導する。宿題を忘れた生徒を叱責する。大声を上げて厳しく注意をする時もありました。しっかり見てもらえていないという保護者のクレームを回避するために。集中出来ていない子供にこのままでは酷いことになると脅しながら授業を進める。小学生を指導しているという感覚が麻痺し、大人の厳しさを要求するようになってきます。
受験生、再び
過去の反省もあって私自身も受験生になろうと決意をし、現在は最難関資格に挑んでいます。好きでもないことを毎日取り組むのは想像以上に辛いことです。まず、じっと座っているのが辛い。二時間以上座っていると体が痛くなるんですね。お尻や腰が特に辛い。長時間座るのがイヤで遠出をする時は新幹線ではなく飛行機を使うぐらいです。
また、記憶力が悪くなったのか、なかなか頭に知識が残らない。一週間もすると取り組んだことが綺麗に記憶から消えています。呆然としてしまいます。記憶に残すように繰り返しながらテキストを進めていくと、牛歩の如く先に進めません。約500ページのテキストを終わらせるのに2ヶ月近く費やしています。最難関の試験ということもあってこんなテキストが10冊あるんですね。参りました。
さらにあまりにもやらなければならないことが多いのでメンタルが壊れそうになります。さまざまな感情が泉のように湧き上がってきて苦しめられます。情けない、根性なし、自責の念とネガティブな感情のデパート状態になります。出口のあかりが見えないトンネルをひたすらに走っている感じです。
お前たちは偉大だ!
さまざまな感情に苦しめられながら、子供達の気持ちはよく分かるようになりました。季節講習になると朝から晩まで座って取り組んでいる彼らを見ると、辛いだろうなぁと同情してしまう。じっと座っているだけで偉いのです。塾の椅子は安物なのでお尻が本当に痛い。木の板の座板は骨まで突き刺さる感じです。
一年限りといっても好きでもない大量の課題をさせられている方は永遠に終わらないという感覚になるものです。いつまでこんな辛いことやらなくてはならないのだろうと。
俺も受験生だ
そんな彼らのために、今は自分を実験台として学習の痛みを和らげる方法を探しています。新刊本を片っ端から読んで情報を集めて、自分で試してみる。すると脳科学と健康に関する本は実効性があって役に立つことがわかってきました。
授業中に自分で取り組んでみて良かった方法を伝授するようにしています。子供達は真剣に聞いてくれます。メモを取って聞いている子供もいます。さらには実践してみると上手くいったと報告してくれる子供もいて、涙が出るほど嬉しい。彼らが同じ辛いことを分かち合える同志に思えています。今は仕事ではなく心の底から頑張ろうと言えるようになりました。