ゴルフ徒然
ゴルフ狂の詩
ライター

名医 小話36

整骨院ってなに?

街中見回していると接骨院、整骨院が溢れている。
さらに新規開院を予定しているところがある。
雨後の筍といったところか。
コンビニ、
歯科医
と並ぶ
ダブつき三兄弟だ。

こんなにニーズがあるのか疑問である。
玉石混交といった感じだろうか。
いや、玉はほとんどない。
石ころだらけである。
通院して良くなったとあまり聞くことがない。

私自身もゴルフをやっている関係で体を痛めることが多い。
そのため体の痛みを取るために整骨院には
10カ所以上通った経験がある。
その時は気持ち良く、改善した感じがするのだが、
しっかりと治った経験がない。

結局、休養して自然治癒力に頼ることに。
過去、整骨院にかかった治療費は莫大な価格に。

昔の接骨院

一昔前の接骨院は骨つぎと呼ばれていた。
重症患者も受け入れて、心強い存在だった。
学校で怪我をしたらすぐに近くの接骨院に連れて行かれたものである。
適切な処置を施してくれるので、その後の治りも早く、後遺症も最小限で済んだ。
ありがたい存在だった。

ただ、行くのがちょっと怖い。
強面の体つきもガッチリした柔道の師範が先生で、
寡黙に治療する。

治療は結構、手荒であった。
小さい子供だからと手加減はしない。

小学校一年生の時に友達と戯れていると左肩を脱臼した。
先生に連れられて近くの接骨院へ。
名前は忘れたが強面で寡黙だったのを覚えている。
左肩の様子を見るやいなや左肩をつかんでガキっ!
あまりの早業で何が起こったのか分からないまま治療は終了。
左手が元通りに。

「これで大丈夫」
の一言。
カッコ良かった。

新手のマッサージ店

いつの頃からか整骨院とやらが登場してから様子が一変。
マッサージ店と変わらないサービスを提供し、
少しでも重症なら病院へ行くように勧める。

おいおい、治療が出来ないなら
「健康保険証の使えるマッサージ店」
と宣伝してほしい。
治せるなんて匂わせないでほしい。

空手をやっていた時、
試合後に蹴られた足が曲がらなくなった。
初めての経験で怖くなり、
近くの
「スポーツ、格闘技専門治療」
を看板に謳っている整骨院へ。

口達者な整体師が登場。
自分は専門家だとことさらにアピール。
正しのか疑わしい知識をひけらかす。

ところが、語るだけ語った果てに、

「これは手に負えないので病院が適切だ」

と理路整然と語る。
わざわざ来たのにである。
いい加減にしろよ。

病院へいく羽目に。
二度手間である。
ろくに治療もしていないのに初診料と治療費を払わされることに。
さらに紹介された病院でも初診料と治療費を払う。

結局、病院でも安静にして湿布を貼って様子を見ることに。
湿布一枚に大金を払うことに。
こんなんならサロンパスで充分だった。

あの昔にいた、どこの町にも居た寡黙な先生はどこに行ったのだろうか。
本当に見かけなくなってしまった。

名医、登場

私の母も歳がもう70半ばと言うことで、
よく体の痛みを訴えるようになった。
近所の整骨院へ。
10カ所以上もお世話になったが、
良くなることがない。

あまりの痛さに耐え兼ねた母が友人から紹介された接骨院に。
兵庫県宝塚市にある整骨院だ。
建物は古くてクチコミがなければ入りにくい佇まいの接骨院。
玄関を入ると懐かしい。
昔、お世話になった接骨院の雰囲気が漂っている。

先生は70代半ば。
過去に3人の師匠から教えを乞うた。
良い先生がいると聞き付けてはどんな場所にいる先生であっても訪ねた。
そして知らない土地での弟子入り。
心細いこともあったであろう。
出身は北陸地方。
東京でも学んだ。
今は流れ着いて関西で身を落ち着けている。
かなり苦労したようだ。

名前を呼ばれてベッドに横たわると独特な治療が始まる。
巷に蔓延る整骨院とは施術が違う。
大概の整骨院は痛みの箇所を揉みほぐしたり、
あるいは電気などを当てて治療をすることが多い。

その接骨院は、一切揉まない。
さらに問題になっている痛みの箇所をほとんど触ることがない。
体全体から痛みの原因を突き止め、
全く違った箇所に原因を見いだすことが多い。
初めは信じられない言葉を耳にするのだが、
実際に施術をしてもらうと改善する。
マジシャンである。

母は長年の痛みが取れて元気にしている。
そして、少し遠いのだが体のメンテナンスのために
定期的にその接骨院に通っている。

膝の故障

最近、私は膝に水が溜まり整形外科に行くかどうか悩んでいた。
行ってもどうせ注射を打って水を抜く。
対処療法しか受けられないだろう。

膝が悪化する前に
今回は関西に短期間帰省して
そのマジシャンに膝を診てもらうことにした。

今回も体全体を観察して、
横たわった私をベッドの上で動かすこと数分。
一瞬で歪みを見抜く。
この観察眼が鋭い。
今回の痛みは先生曰く

「足首の向きが歪んでいるがために稼働のツケがきて、膝に水が溜まっている」

と。

そこで足首の向きと骨盤の矯正を施してもらうと、
驚いたことに膝の水がほとんど消えた。

何ヶ月も悩んでいた膝の違和感はなくなり楽に。
まさにゴッドハンドである。

初めてかかると、揉んだり強く押したりがない。
治療してもらったのか頼りない感じ。
しかし施術が終わって外に出ると、
長年悩まされていた痛みから解放されて気分が良い。
帰り道の駅までの道が軽やかに。

その先生曰く
痛みは歪んだ部分に出るのではなく違った部分に出るそうだ。
体はつながっているからである。

話を聞いているとなる程である。

人生の故障

人生もそうではないかとふと思う。

お金のトラブルを抱えていたり
仕事のトラブルを抱えていたり
人間関係のトラブルを抱えていたり。

ひょっとするとそのものに原因があるのではなく
自分の人生の癖みたいなものから障害が出ているのかもしれない。
自分では気付かない癖。
「なくて七癖」である。

私の場合は過去に事業で失敗した。
一般には運営の仕方等の 直接の原因を指摘されることが多い。
でもよくよく自分の人生を眺めてみると、
何をするにしても

面倒臭い

と思う癖がある。

この面倒臭いとすぐに思ってしまう癖が事業を継続していく中で
様々な障害を生んだのかもしれない。

確かに思い当たる節はある。

もう一度面倒臭いから過去の失敗を反省してみたい。

体の動きにも癖があるように生き方にも癖がある。
その癖を少し矯正するだけで、行きづらさを解消できるかも

と、この先生のつまらないギャグ聞きながら考える1日であった。
「膝、楽になったやろ」
「東大寺のお水取りや」
「・・・・・・」