ゴルフ徒然
ゴルフ狂の詩
ライター

インストラクターとして 小話43

若いゴルファー

歩いて練習場まで行くことがある。

最近はコロナの影響で若い人のゴルフ人口が増えている。
練習場の場所を案内されて打席に行ってみると、
若い人たちがいてワイワイ楽しそうに練習をしていた。

ベテランのゴルファーにとっては少しうるさくて
練習に集中しづらい状態だったかもしれない。

しかし若い人がゴルフを始めて
ゴルフ人口が増えることはとても喜ばしい。

一生懸命に友達に教えている姿は微笑ましい。
教えている方も教えられる方も
実にいい顔をしている。
困ったことをストレートに直してあげる。
思ったことを言い合う。
課題を克服できると喜び合う。
指導の原点を見ている気がした。

厄介な「基本」

しかし、指導者という肩書きを持ったものが登場すると
話がややこしくなる。
あの便利な言葉が全面に出てくるのである。

そう、「基本」だ。

この言葉なかなかタチが悪い。
何か義務感のようなものをまとっている。
そう、悪役がまとう黒いマントのようなだ。

授業中にこの言葉を出すと生徒は嫌がる。
これがないと罪悪感を植え付けられた気になるようだ。
言葉の威力は凄まじい。
途端にやる気を無くしてしまう。
「基本」という言葉を極力使わないようにしている。

しかし、言葉には責任はない。
使う人間が乱用しすぎた。

確かに上達するには
「基本」は大切である。
どんな教科書や教本にも
基本が詳しく書かれている。

書いた人の優しさかおせっかいか、
余計な文言がたくさん並んでいる。
「大切ですよ」
「しっかり身につけよう」
などの励ましから、

「ここを疎かにすると痛い目にあう」
「基本がいい加減で上手くいった人を見たことがない」
などの脅しまで。

読んでいてうるさいなぁと思うくらい
心のこもったコメントが書かれている。

ところが、簡単に見えて、
身につけるのに時間がかかる。
彼らが言う「基本」は厄介なものだ。

さらに面白くない。
単調な動きが多く、
刺激に欠ける。
基本を身につける為に
時間を掛けて我慢を強いられる。
楽しさを犠牲にしてしまう。

独自「基本」論

私が考える基本はまず心から。
心から楽しむこと。

技術的な基本をうるさく言われてしまうと
本来の楽しさを味わうことができず、
やめてしまう。

まずはゴルフを趣味にするためには
スイングの基本を身に付けるのではなく、
ゴルフ場で楽しくラウンドすること。

ゴルフ場でラウンドを楽しめるようになってから
技術的な「基本」を考えるべき。

もしも自分がラウンドに出て、もうOBを打つのが嫌だ。
アイアンでしっかり打ててグリーンを狙えるようになりたい。
そういう欲望が出てきて初めて向き合えるものが
技術的「基本」だ。

心理状況が調って初めて、
技術的な「基本」を身に付けようと渇望する。
退屈な基本を本気で身に付けようと思う。
この心理状況がベースにならないと
技術的「基本」の退屈さは乗り越えられない。

ゴルフとの付き合い方

初心者はまずクラブが振れて、
ボールに当てることができればOK。
そして初心者でも回ることのできる易しいゴルフ場に行って
とりあえずラウンドをしてみてほしい。

するとスイング技術だけを身につけるという苦行ではなく、
ゴルフの違った側面をみることができる。

例えば四季の彩りを楽しむとか
美味しい空気を吸うだとか
友達と仲良くワイワイ言いながらコミュニケーションをとって
1日を終えるというような楽しみ方があるのに気が付く。

さらに先に進みたいならステージはまだまだ用意されている。
やり甲斐はいくらでも見出せる。

もう少しスコアを縮めたい。
あるいは競技に出てみたい。
あるいは教える人になってみたい。
仕事にしてみたい。
プロになってみたい。
とステージは続く。

こうなって初めてグリップ、アドレスと言われる
一番つまらない基本に触れなければならなくなる。
目的意識を持って初めて基本というものは生きてくる。

トライアンドエラー

インストラクターの世界でも
頭の固いインストラクターは初心者の人にずっと
グリップとアドレスを教えている人がいる。
そういうことをしていると
ゴルフとはつまらないものだという誤解される。
由々しき事態だ。

ゴルフを始めた初心者はクラブに触れる。
ボールに無心で当てる。
そして必ずゴルフ場でゴルフを楽しむ。

トライアンドエラーの精神で。
ゴルフ場でどんなエラーが出てもいい。
文句を言うお馬鹿はいますが、
無視無視。

初心者ですから失敗を恐れず
どんどんゴルフ場でラウンドをしよう。
本当のゴルフの醍醐味を味わってほしい。

その入り口にさえ立てば
ゴルフが生涯の趣味になります。
年齢を重ねても趣味にできるスポーツはゴルフぐらいです。
ゴルフをしているお年寄りは本当に元気です。
let’sゴルフ!