ゴルフ徒然
ゴルフ狂の詩
先生

合格に縁のない子供 ケース3 ベッドに合わせて足を切られる子供たち2 小話55

不合格構成要件

両親の合格台本

無気力ではないが、
架空の世界に生きる生徒がいる。
進学塾ファンタジーの世界に生きる少年。

演出家の両親の言われるがままに
合格台本を演じ続ける少年。

平日の塾通い。
ほぼ毎日の個別指導。
休日、家に現れる家庭教師。

友達と遊ぶシーンは用意されていない。
ひたすら読書する演技。
入試でよく出題される作家によるもの。

演出家に逆らうことなどご法度。
アドリブは厳禁である。

子役の迷演技

この子役、演技は一流。
優等生に成り切る。
顔まで優等生の表情を浮かべる。
小道具のメガネもよく似合う。

家庭学習も完璧。
宿題はきちんとやらされてくる。

復習テストはいつも一番。
テスト中に名言を連発。
「家でやったのと全く同じだ」
と嬉しそう。
保護者は演出兼ノストラダムス。
出題される問題が事前にわかるのである。

ところが公開テストの結果だけは
台本通りならず。

このノストラダムス、
公開テストだけは予言できず。
残念。

公開テストは流石の塾も
過去問の使い回しはしないから。

当然、ノストラダムスから入電。
「どうして成績が悪くなっているのか」
相談の電話で新米担当が困っている。

どうして大きなテストに弱いのか。
本番に弱いタイプか。
公開テストでは台本通り
演じることができない子役。

新米先生、真剣に悩んでいる。

塾が経費削減しないで
毎年、新しい復習テスト作れば
ノストラダムスは出現しないのに。
かわいそうな新米先生。

まあ、せいぜい悩んで経験値を増やしなさい。

ポンコツ子役

こんな演劇と予言を繰り返しているうちに
受験前には学校で習う基礎的な内容ですら
理解できないポンコツに。

このタイプの子役の多くが低学年の時は
トップクラスの成績を収めていた優等生。

周りの友達からも
昔は賢かったのにねと
茶化されてご満悦。
茶化されていることにも気付かない
ポンコツぶり。

過去の栄光に縛られ、
第一志望校は御三家。
いくら無理だと説得しても
ポンコツの耳には届かない。
そりゃそうだね。
台本に御三家以外の学校が書いてないものね。

クライマックスは合格発表。
台本にない第一志望校、
不合格。

エンディングではアドリブの
ノストラダムスの阿鼻叫喚。
迫力のある演技に新米先生たじたじ。

余計なプライドだけを育てた両親の台本。
とほほ。

牢屋の子役を救え

思考の牢屋

親の思考という名の牢屋に
閉じ込められている子役。

ゴールをイメージが御三家合格。
その学校が子供に合っているかどうかは
どうでも良い。
本人の希望もどうでも良い。

御三家は両親の見栄を張るための道具

ブランドにしか興味のないおばちゃんと同じ。
ベンツにこだわるオヤジと同じ。
バッグの使い勝手より
見栄が大切。
安全に運転することよりも
見栄が大切。

どんな形でも合格すればそれで良い。
合格することで子供は幸せになるのだと
自分の幸せと混同している人が
不幸な子役を作ってしまう。

合格の質

本当にそんな質の悪い合格で良いのか。

体も精神もボロボロになって
燃え尽きた先のゴールが
その子にとって良い訳がない。

それが地域で一番のトップ校であっても。

受験勉強を通して燃え尽きるのではなく、
知的好奇心が刺激され、
進学後も学び続ける。

さらに理想の自己を目指して
歩を辞めずに磨き続ける。

子供が幸せになるための基礎を
受験勉強によって鍛えていくのではないのか。

台本のエンディングを書き換える必要がある。
エンディングはもっともっと先。
長い長い
ネバーエンディングストーリーなのである。

こんな時期から燃え尽きさせてどうするのか。

中学生なんて人生のプロローグである。