物語の壁
昨日は久しぶりの授業でした。一週間以上休んでいると口の動きが思うように動かず滑舌が悪くなり、音読に苦労しました。噛むたびに嫌な顔せずに子供たちはニコニコしていました。
物語の主題についての記述問題がテーマでした。主題はその作品の全体を通して貫かれている哲学のようなものになります。主題がベースになって話が展開していきます。物語の前半で主題を掴んでしまうと、大抵の問題に対応できるようになります。
空気の読めない男たち
ところがこの主題は物語の中では直接の語られることはありません。それゆえに捉えるのが非常に難しくなります。特に男の子はそれとなく述べられているものに弱い。
「ユニフォームを脱ぐ」とか「マウンドを降りる」などが問題になるとたちまち珍回答を連発します。昨日も面白いことを言っていました。
「気温が高くなり暑くなったことを表している」
「試合が終わり、相手チームとユニフォームの交換をする」
という想像を超える答えが出ていました。
「ステージの上にマイクを置いて帰る」というヒントを与えると女の子は全員理解したようです。ヒントを参考にしても男の子の大半は何を言っているのか意図が読みきれません。
何が人を物語らせるのか
物語の理解に信念の理解が欠かせません。人間は信じたことに基づいて重要な決断をしていくということの理解が進んでいないと、目の前に見える現象だけで内心を理解しようとしてしまいます。物語を苦手としている子供の特徴です。
信念を理解させるなんて難しい作業に思われるかもしれませんが、人の持つ信念とはそんなに多岐にわたるものではなくすぐに理解できます。細かいことを言えば、人それぞれにさまざまな価値観があり複雑に見えますが、信念となると大きくカテゴライズすることができます。大まかなカテゴリーを頭に入れておけば入試問題に出題される文章には対応できるようになります。入試問題は道徳というフィルターをクリアーしたものしか出題されませんから。
鳥の目を獲得せよ
カテゴリーを予め理解すると話の筋が見えてきます。このなんとなく見えてくる話の筋が読んでいる人の抽象度を上げていきます。抽象度とはいわば鳥の目のようなもので、獲物を狙う鷹のように全体をゆったりと見渡す視点です。情報量が多い国語では必要なものと必要でないものを見分ける目を持つことが肝になります。大きな視野から猛スピードで獲物を仕留める。大量の情報から素早くポイントを拾い集めてくる。こうなれば国語が足を引っ張ることはなくなるでしょう。