テレビ
最近、地上波放送を見ない。
特にニュース番組を見ない。
気分が落ち込んでしまう。
よくぞこんなに世の中に人を
暗くさせるニュースばかりが存在しているのかと
呆れるばかり。
確かに報道されている内容は
社会常識として知っておいた方が良いのかもしれない。
しかし心の元気を犠牲にしてまで、
見なければならないものだろうか。
そういう疑問が湧くようになった。
人で溢れかえる東京をうろうろするだけで心が疲労する。
その上、家の中でも心をすり減らす出来事に触れていると、
人そのものが嫌いになりそうだ。
心を暗くするぐらいなら
心が癒されるものを見ようと思うようになり、
パラビーを契約。
過去の古いドラマを見ている。
最近ハマっているのが「金八先生」
金八先生
自分が子供を教える立場であることも手伝って
生徒と教師をテーマにしたドラマを見ている。
初代、シリーズ5の「金八先生」は見終わった。
現在はシリーズ1。
生徒役に今ではもうおじさんやおばさんになってしまったタレント。
近藤真彦、田原俊彦、三原順子や杉田かおるといったような
芸能界の大御所たちが生徒役で出演している。
さらに主人公である金八先生役を演じる武田鉄矢もかなり若い。
ドラマの設定では29歳の設定。
モアイ像にロングヘアを合わせたユーモアたっぷりのキャラクター。
現代では違和感はないが、
当時では男性のロングヘアは
かなりのインパクトがあったようだ。
ドラマ内でも教頭先生に髪の毛を切るように命令されたり、
保護者にも変わった髪型をした先生だと揶揄される。
世相の違いを感じる。
また、先生が職員室で堂々とタバコをふかしていたり、
生徒の前でタバコをくゆらせながら話をしている。
現代では懲戒もの。
先生の下宿先に生徒が毎日のように押しかけてきて、
部屋に上がりこんで悩み事を相談している。
今なら、警察沙汰だ。
考えられないシーンの連続。
ただ、寛容な社会が描かれる。
見ているとこの寛容さが懐かしい。
人がみんな大らかだった時代。
社会全体で子供を支えようという姿勢が見受けられる。
妊娠してしまった女性の親代わりになる
池内先生の母親。
生徒の個人的な悩みにまで首を突っ込んでくる。
お節介なお巡りさん。
社会が子供を見守っている。
そこには色濃く「人情」の二文字が滲み出ている。
このドラマを貫く世界観。
優しさ
最終的にこのドラマの見所は
クラス全員が一人ひとりのことを思いやり
さらには担任の先生に対する愛情を育むところにある。
特に卒業式のシーンは涙が止まらない。
その見所の隠し味になっているもの。
それが金八先生の「優しさ」
生徒に対する無償の優しさ。
「優しさ」を持つのは簡単だが、
人に表現するのが非常に難しい。
日本ではこの難しい優しさが安易に
結婚の相手に求められる。
ハードルの高い課題を求められる。
でも、現代の人が言う優しさは
何か利己的な匂いがつきまとう。
自分を尊重してくれる人
自分を見守ってくれる人
自分をかばってくれる人
自分を叱らない人
・・・・・・
自分が前提になっている優しさ。
相手に求めるだけの優しさ。
通販番組で商品を簡単に買うことができる
お手軽便利グッズのようである。
人のことを非難しているようだが、
何を隠そう、
私自身が過去、
妻に求めた「優しさ」の正体。
優しさの履き違えが
離婚に繋がった。
現在の孤独の原因。
孤独から教わったもの
東京で一人になって考え事が増えた。
雑音の無い世界で考える。
無意識が「金八先生」を見るように誘導。
本当の「優しさ」を見せつけられる。
「優しさ」は心の優しさそのものだけではなく
面倒臭い行動と背中合わせになっている現実。
面倒臭いことに一切目を背けない金八先生。
その結晶が卒業式での生徒の優しい涙。
彼にとって人とのゴタゴタは
当たり前なのであり覚悟の上。
人と共に進むための絶対条件。
よく人に優しいと言われた。
特に父親にはお前は「優しいからなぁ」と言われた。
褒められているのに嬉しくない。
軟弱なものに対するレッテルに聞こえる。
彼らの言う「優しい」はただ怒らない
ということであるようだ。
言い換えれば
お前は勇気がないと言われているのである。
自分の意見を堂々と他人にぶつけて、
批判や非難を受け入れる。
面倒臭さを受け入れる。
優しさは険しい道の先にあるようだ。
良いもだけを効率よく手に入れようとしてもだめ。
良いものを手に入れようと思えば
その裏側についている悪いものに対しても
同時に受け入れなければならない。
この裏側に隠れている面倒臭さに
果敢に挑むのが
金八先生の姿だ。
面と向き合って話をし、一緒になって悩む。
自分の時間を削って問題の解決に向けて走り回る。
生徒の心に寄り添う姿勢に
子供たちの心が氷解していく。
人生からの宿題
人生の意義は人に尽くすところにある。
人の重荷を少しでも肩代わりする。
目の前にいる子供の受験の重荷を
肩代わりしてやろう。
彼らを少しでも楽にしてやろう。
素直に思えるようになった。
母親の作るお弁当は愛情たっぷり。
子供のことを思い、
敢えて嫌いなものを入れる。
その嫌いなものを食べる覚悟。
空になった弁当箱を持って帰る。
母親への思いやり。
優しさの原点。
人生からのお弁当。
残さず食べてしまおう。