前回の続き
結局その女の子は学校の同級生から
頭頂部を指摘され、
ショックを受けて登校拒否に。
ストレスによる円形脱毛症は
心が落ち着けば改善してくる。
ところが、強引に抜いてしまったものは
なかなか生えない。
その後も改善されない頭頂部を気にして、
人が集まる場所には顔を出せなくなった。
塾も人が集まる場所。
そのまま塾もお休みすることに。
家庭教師をつけて受験を目指したが、
結果は散々であった。
第1志望校から第3志望校の試験に全て不合格。
周りの目が気になって試験どころではなかったようだ。
大人のプレッシャーによって自傷行為に至った。
心の傷はなかなか癒えないだろう。
この出来事をきっかけに
家に閉じこもるように。
人生を良くするために始めた受験勉強ではないか。
つまらない勉強のせいで人生の出発点で大きくつまずいてしまった。
合格と不合格の差
憧れの第一志望校に晴れて合格した受験生よりも
悔し涙を流した受験生が多数派。
競争率から考えても仕方がない。
ところが合格する受験生と不合格になる受験生には
圧倒的な成績の差があると一般に思われているが、
実は両者にはほとんど能力の差はない。
運の要素も見逃すことはできない。
しかし第一志望校に合格する子供と
そうでない子供の間には
決定的な違いがある。
それは親の姿勢。
覚悟の問題と言い換えても良いだろうか。
アウトソーシング
最近はアウトソーシングなる言葉をよく耳にする。
専門的なものは専門家にそのまま丸投げしてしまえば
効率的で儲かるという考え。
会社の利益を考える際には必要な要素にもなろう。
しかし、最近は家庭にまで持ち込まれている。
家事代行
育児代行
父親代行
葬式の参列代行
恋人代行まである。
こんなん、誰が頼むの?
そんな中で当然教育代行も進んでいる。
教育そのものを親が学校や塾に委託してしまう。
わからない問題について親に質問しても、
端から考えようともせずに
「先生に聞きなさい」
の一点張り。
子供が一体何に悩んでいるのかに関心を向けず、
ひたすら自分の仕事や趣味に心を砕いている。
肝心な質問には答えようともしないのに
お小言だけは超一流である。
「勉強しなさい」
「宿題しなさい」
「お片づけしなさい」
「ちゃんと留守番していなさい」
以前の面談でもあった話だが、
月に教育費を五十万円もかけている家があった。
宿題をさせるにも
問題集をさせるにも
スポーツをさせるのも
全て家庭教師にお願いしている。
母親は経営している病院の会計に忙しく
子供に全く関わっていないとのこと。
完全に教育を外部に丸投げしている親であった。
ここまでお金をかければ当然、
合格しそうなものだが、
残念ながら結果は第一志望校不合格。
滑り止めの学校になんとか合格して、
現在は片道一時間かけて他府県の学校に通っている。
教育とは
昔はよく言われた。
「父が教え、母が育てる」
学校がなかった時代からずっとそうして来た。
子供が一人で生きていけるように
父親が厳しく教えた。
子供が健康で立派になるよう
母親が育てた。
小説や随筆の中にも
父の厳しさや母の優しさといった
記述がよく見受けられる。
教育の原点はやはり両親なのだ。
この大事な要素をすっ飛ばして、
全て外部委託してしまう。
とんでもないこと。
塾の悪行三昧
またこんな親にしかできないことを
安請け合いする塾が横行している。
利益のためには何でもできますと
小賢しいことをのたまう。
先生という仮面を被った営業マンが跋扈している。
できないものはできないと突っぱねて欲しい。
社長の豪邸を建てるために社員が嘘を並べ立てる。
要らないものを売りまくる。
教育のアウトソーシングをしている親の子供は
第一志望校に合格することがまずない。
25年間受験に関わってきて自信を持って言える。
合格は家庭で勝ち取るもの。
塾が合格させるのではない。
本人の努力だけでできるものではない。
東大の合格者の多くが
居間で勉強をしていた事実を見てもわかる。
教育にアウトソーシングはふさわしくない。
子供が不合格の被害者になっている。
構成要件
刑法を学ぶと必ず覚えなければならない言葉がある。
構成要件という言葉。
刑法の中には犯罪のカタログが載っている。
例えば、詐欺罪という犯罪がカタログにある。
カタログの中には二つの条件が。
一つ目は人を欺く。
二つ目は財物を交付させた。
この二つの条件が揃うことで
詐欺罪に問われる。
この条件を構成要件という。
刑法ではこの構成要件に該当するのかを
容疑者の行動の結果から当てはめて
犯罪を決める。
一つでもこの条件に該当しなければ
罪に問われることはない。
合格するための考え方
この構成要件に該当しないように
気を付けていけていくことが
合格への近道になる。
現代は少子化の影響で私学が子供の奪い合い。
私学が塾に媚を売っている現状。
私学の営業担当が塾を訪れて
一人でも多くの子供が自分達の学校を受験するように
お願いに度々現れる。
訪問販売しているおっちゃんのようだ。
立場的には塾の方が上になっている。
こんな状況ならしっかりした家庭の子供は
第一志望校に無理なく進学できる。
希望の学校に進学できないのは
不合格の構成要件に該当しているから。
合格するには特効薬を飲むのではなく、
構成要件を外す努力をする。
不合格の構成要件を理解して、
自分たちの余分な行動を取り除く。
早くこの事実に気づいて欲しい。