地獄の夏期講習
今日夏期講習のシフトが発表された。
教える側にとっても夏期講習は体力勝負。
正直なところを教える気持ちの密度が薄くなる。
夏期講習は憂鬱な期間。
早朝から晩まで授業し、
睡眠不足の中
また早朝に起きて授業に向かう。
毎日、週6日ただひたすら繰り返していく。
夏の風物詩を感じることがなく、
終わった時には秋風が吹く。
何十年も夏を味わうことがなかった。
1日のスケジュールは凄まじいの一言。
約10時間ほぼ立ちっぱなし。
間に食事を挟むぐらいか。
その食事も約10分で終えなければならない。
ゆっくり食べている暇はない。
「先生、質問」
と声をかけられるとTHE END
次の小休憩までお預け。
一日中、明石家さんま。
喉は崩壊。
のど飴の消費量は鰻登りに。
1日のカロリーのほとんどがのど飴。
この様子を見ていた保護者から
栄養剤の差し入れを頂くことが。
ありがたい差し入れだ。
手紙が添えられている。
「先生、今年だけは倒れないでください」
心のこもった手紙である。
トイレ戦争
どうしても困るのはトイレ。
普段と違ったリズムなので
あれの出る時間が合わない。
授業中にお腹がぐるぐる。
家のトイレが恋しく、すりすりしたくなる瞬間。
授業中に、
「お前たち、欲望を我慢して集中だ!」
自分に
「便意を我慢して集中だ!」
やっと休み時間になりトイレに向かうと地獄絵図。
一気に子供が押し寄せてきて、
数少ないトイレは子供の行列。
大きいのが出来るところが一箇所だけ。
子供に占領されている。
バーゲンセールに負けて帰るおばちゃんの気分。
そうこうしている間に始業のチャイム。
結局退却することに。
その後の授業は煩悩との戦いに。
わがまま
こんなことを毎日続けていると、
一つ一つの授業の密度が薄くなる。
密度の薄さが毎年気になっていた。
そこで今年は思い切って
1日の授業の時間数を3時間までに、
6年生の授業に絞った。
配置を担当している職員に
わがままを言った。
収入の面ではかなりの痛手。
講師にとっては1年のうち1番の稼ぎどころ。
おせち料理を作る会社であれば12月末といったところか。
今年度はびっくり確定申告になるだろう。
それでも、受け持っている6年生と向き合う覚悟を決めた。
収入以上の何かを手にすることができるはずである。
子供の瞳
勇気のいる決断をさせてくれたのは
今受け持っている子供たちの熱心な瞳である。
この瞳の輝きをどうしても殺したくない。
彼らの期待に応えるためにも
この夏期講習は最高の授業を送る。
いい加減な授業を提供するのは忍びない。
収入の不安をよそに、
今年は彼らと真剣に向き合えると思えるだけで
楽しみに思える。
どんなことを教えてやろうか。
どんなことを身に付けさせてやろうか。
今からワクワクしているのである。
仕事の意義
この年になるまで
仕事はお金を稼ぐことだと思っていた。
それも一つの答えだろう。
でも、別の側面も。
偉人たちが訴えていた仕事の意義。
頭では理解したつもりになっていた意義。
人のために尽くすこと。
社会の一員として働くこと。
仕事を心から楽しむこと。
少し分かり始めている。
本当の仕事の楽しさを享受する夏。
今年の夏の目標。
子供たちと一緒に成長する夏期講習になるだろう。
考え方次第で世界が変わっていく。