ゴルフ徒然
ゴルフ狂の詩
先生

先生道、番外編 小話34

100年も生きるの!

人生100年時代。
そんな言葉が飛び交っている。
まぁ言いたいのは、お金のことであろう。
小金持ちが持っているような貯金では、人生100年時代を過ごすことができないとの警告だ。
貯金に頼らず老後の資金を枯渇させないように働こうと。
大事なことは、

自分の得意なこと好きなことを活かして働け

というのである。
一般には好きなこと得意なことを見つけるのが非常に難しいようだ。
私は好きなことと得意なことが認識できている。

好きなこと

好きなことは車とゴルフ。
3歳の頃から誰とも遊ばずに夢中になっていた。
幼児の頃から社長さんと社交できるポテンシャル。
そりゃ、誰も一緒に遊ばんわ。

房総半島からの帰りも下道を渋滞の中、
延々と7時間以上休憩なしで運転をしている我慢強さ。
疲れで冷や汗をかいていることにも気付かない。
凄い集中力である。

研究にこの力を発揮していたら、
今頃は
ノーベル賞の候補

ところが好きが収入につながらない。
どちらも燃費がすこぶる悪い。
老後は破産である。
あーあ、法学や医学に興味を覚えないの

「私、失敗しないので」
言ってみたかったー
自分のDNAを恨めしく思う瞬間である。

はい、好きなことで身を立てるのは無理。

得意なこと

では、得意なことは?

得意なことには定義があるらしい。

努力をしていないにもかかわらず、人よりもなぜかうまくできているもの

だそうだ。

おーこれならある。
「教える」ことだ。
おかげで先生業を25年以上も続けてきた。
教えるのは得意だ。

教えることを生業としたのが大学生の時。
父親と喧嘩をして学費は要らないと啖呵を切った。
慌ててアルバイトを探すも、学生バイトでは生活費と学費を賄えない。

そこで、高単価の仕事を探すことに。
当時、時給の高い仕事がカウンターレディーか塾講師。
んー、どう転んでもレディーじゃない。
選択の余地なしである。
勉強を教えることに。

綱渡り授業

仕事を始めた頃は勇者であった。
勉強が大嫌い。
机に向かうのは苦痛でしかない。
仕事の予習で机に向かうなどありえない。

当然、教える内容を見るのは授業が始まってから。
まっさらのテキストを開いた時である。
何が出るかお楽しみ。
ハラハラドキドキの綱渡り授業。

たまに、答えがわからず大慌て。
勇者は魔法が使えない。
必殺技を繰り出すしかない。
前列に座っている賢い生徒のノートを透視。
ふむふむ、おーわかったぞ!
意気揚々と解説。
地図も持たずに旅に出るドラクエの勇者であった。

アンケートの不思議

しかしそんな勇者、授業は生徒ウケが良い。
授業の中でとっさに浮かんだ発想を生徒たちに伝えると新鮮で分かりやすいようだ。
魚と授業は鮮度が命!

年に何回か行われるアンケートでは
「わかりやすい」
「楽しい」
生徒のコメントが踊っている。
何度アンケートを取られても、ランキングに必ず入る。

初めてである。
努力なしで表彰されるのは。

「教えることに向いているかも」
確信に変わっていく。

でも、この仕事が心から好きだと思ったことがない。
それは、勉強が絡んでいるから。
とほほ。

真面目は生徒の敵?

逆のパターンの人たちが。

努力に努力を重ねる、勉強の秀才たち。
学力は高い。
偏差値もIQも凄まじい。
授業計画も板書計画まで完璧。
授業中の雑談まで決めている。
恐れ入りました。

でも何故か、アンケートが悪い。
悲しいぐらい悪い。
コメントも辛辣なものが並んでいる。
ここまで嫌われるのは才能である。

子供たちの正直なコメントは容赦ない。

「面白くない」
「気持ち悪い」
「担当を〇〇先生に代わってほしい」
「この教科が嫌いになった」

などなど。
見せてもらうと、こちらが落ち込む。

ところがこういう先生は落ち込まない。

「子供がバカだから仕方がない」

とコメント。
こやつもなかなかの強者。

さらに、めげずに、

「予習は当たり前。板書の計画から話す雑談まで決めるのが大事」

と居酒屋で熱く新人に語る。

真面目か!

お説教よりもアンケートを見直せよ。
と突っ込みたくなる。

アンケートが悪かろうとこの仕事が好きなのだそうだ。
本当に楽しいらしい。
なかなか噛み合わないものなのね。

勇者のライバル、遊び人

塾の先生は遊び人が多い。

パチンコ
競馬
競輪
ボート
ゲーム
毎日の飲み会
ガールズバー

と不健康な遊びのオンパレード。

給与の全額をぶち込んでいる先生もいた。
ジェットコースター人生を楽しんでいる。
最強の遊び人達である。

この遊び人、アンケートが凄い。
なかなか手強いのである。
この手の人は遊びに忙しいので、授業計画なんぞない。
人生だけでなく、授業もジェットコースター。
こんな先生の教室からは笑い声がよく聞こえてくる。

「先生、また間違ってるよ」

と楽しそうに。
おいおい、クレームにならないの?
恐るべし、遊び人!